バケコラム
学部の頃から化学で遊ばせてもらって、かれこれ15年余りになる。ふと気づくと僕は、ケミストなどとは自己紹介できない人間になっちまった。 「理学部的な化学」って、サイエンスとテクノロジーにもし分けると 一応サイエンスに分類されるんだろうけど、実験…
放射能が『何だか得体の知れない恐ろしいもの』のように思えるから*1異質に感じるのかもしれないけれど、(物理的・化学的)性質が重金属か放射性物質かで病理が違うってだけで、本質的に化学物質(金属化合物)だ。 放出され、飛散し、色々経て体内に取り込まれ…
プレスリリース/日亜化学工業株式会社 日亜さんのプレスリリースの変遷を適当に読んでみると、なかなか面白い。 2002-2004年ごろのプレスは、かなり過激だ。 正直、その頃の日亜のプレスリリースは、大手企業の出すべき文言には程遠いというか、素晴らしく品…
太陽光発電をご使用のご家庭ではいかがお過ごしでしょうか? - スラッシュドット・ジャパン こんなこともあろうかと・・・って単純なものでもないらしい。 #電力会社に電力を買ってもらっているからややこしそう。 「20年持ちまっせ」と聞いて太陽電池買っ…
少なくとも、貴重な化石資源を大切に使うことは必要。 でも、CO2の排出量を下げたから温暖化が収まっていくのだ、というものでもないだろうから、CO2排出量はさておき温暖化しないような地球の環境改造を本気で検討した方がよほど建設的。
海外で修行してくるのが良い、みたいなことを実しやかに言うエライヒト人は多い。 けど、「主に日本の学界で良い仕事をして、時々海外で発表してきたような人」でも重要な賞が当たるようになってきているわけで、「別に日本でクリエイティブな仕事が出来るな…
またも日本人の受賞ってことで日本の方では騒ぎになっているのだろうか。 ここ20年ぐらいを見ると、ノーベル化学賞が有機合成分野に贈られるのは、だいたい5年に1回みたいなんですよ。 #2005年がメタセシス、2001年が不斉合成、1994年がカルボカチオン。 今…
科学技術関連予算の事業仕分けが最終的にどの程度実行に移されるのかは不明だが、まあペタコンあたりを落し所にして、結局激減のまま政治決着で終息するのかもしれない。 COEプログラムとかが切られるとなると、当然のことながらポスドクがざくざく斬られた…
昨今の事業仕分け。スパコンとか個々の事情はまあおいといて。 科学技術予算が無知蒙昧な国会議員ふぜいに 無暗に減らされることには、見ていて呆れるばかり。 こいつらの政権がさっさと崩れてくれんものかと思う。 だけど、これまでずっと聖域として増え続…
マスクパニックに陥っている日本を遠くで見ています。 インフルエンザウイルスって100nmオーダーらしいですが、100nmの粒子のfiltrationが可能なマスクってそんなにあるんだろうか? 工業用の微粉作業時の防護に用いられる防塵マスク*1なら行けると思うけど…
足利事件のDNA再鑑定の件。 マスコミにのせられて「1/800の証拠なんかで判断されたなんてケシカラン」と仰る方が多いようだが、僕はその論調に分析屋として異を唱える。 事件当時の生化学・分析技術のレベルで 技術的にはまだ発展途上だったとはいえ、現実的…
たとえば、水とか酸化還元とかでぐぐってみると、相当アレゲなグッズや情報が沢山出てきますね。 あまりにアレなのでリンクは張りませんが、”酸化還元確認計「アラ!元気」”だの”銀水”だの”還元水素水”だの、なんでもアリです。 溶液中のケミストリー*1を知…
無機物からなる従来の素子に対して、有機トランジスタや有機ELの類では同じような強制劣化はどうなんだ、と言う事なのですが、これははなはだ懐疑的です。劣化・破壊モードが、高電圧を印加した時・大電流を流した時と通常駆動の時で同等とみなせるのかとい…
つまり、発光素子で寿命(=明るさが半減するまでの時間*1 )を評価する場合、よく学会発表などで発表されており、おそらくはメーカーでもベースにしている評価法は、 素子に印加する駆動電圧・電流を高くして無理に光らせた強制劣化条件下での寿命測定を行い…
先日、「ソニーの有機ELテレビが実駆動で寿命が短くなりそう」という話題がありました。そういえば昨朝の日経の科学欄には、有機ELの寿命が桁違いに延びたと載っていました。 商用化の障害となる短寿命の解消に向け、研究開発は急ピッチに進んでいることが伺…
分析装置業界・分析業界というのは、社会情勢や経済情勢にものすごく影響されやすいもののようです。実に流行りモノというのに”弱い”。 ただし”弱”くて踊らされて飛びつくのは、装置メーカーではなく、実は買う側だったりします。 研究の流行と分析。 社会情…
高校化学の教科書でおなじみ、ラボアジェが質量保存の法則を唱えたのが1774年、アボガドロが分子説を説いたのが1811年。つまりは、「分子で表すと化学現象がだいたい整理できますよ」という提案がなされ、化学が現代的な学問体系にようやく近づき始めたので…
(きのうのつづき) そのころ、化学の歴史に名を残した物理化学の巨人たちは、ファントホッフ(オランダ人)36歳、オストワルト(ドイツ人)35歳、ネルンスト(ドイツ人)25歳、当のアレニウス(スウェーデン人)30歳という若さだったのである*1。 その更に4年前、ファ…
理系に居たら、化学の講義で「アレニウスの式」という関係式、あるいは「アレニウスプロット」というのを習ったはずである。 意味合いを説明する上ではいろいろな現し方が可能なのだろうけれど、一般的に「アレニウスの式」とは、化学反応の起こる速度の温度…
2007年のノーベル化学賞は物理化学(physical chemistry)が取った、というのはとても嬉しいトピックであった。 現代の化学の研究者は、何となく物理化学の知識を使いこなして化学現象を読み解いている訳であるが・・・ なんとなく、サイエンスの歴史において…
それは、一本の電話から始まった。 某セミナーでご一緒した時に知り合った、大手電機メーカーに勤務の同世代Sからだった*1。実に泣ける話だった。先日、人事上の面談があったりしたらしいのだが、 S「すみません、この研究はアカデミックで3年は掛かりますよ…
アマチュア無線を趣味とされる方というと”なんとなく電気電子系や物理系”な感じがするし、実際他分野に比べれば多いとは思う。しかし、化学系でアマチュア無線をやってる方は、友人・知人にかなり多かったりするのである*1。 中学時代に在籍してた無線クラブ…
"トイレ洗浄剤、「銀イオン除菌」効果なし・アース製薬に排除命令"(NIKKEI NET)。 とりあえずこの記事では、「銀イオンがいないじゃないか」ということは概ね分析的に証明しうる事実なので、それは正しい*1。 以前の「マイナスイオン」をはじめとするインチ…
NHK BSオンライン "アインシュタインの眼「美食の最先端〜分子料理法〜」"。 フランス発のガストロノミー・モレキュレール(分子料理法)はヨーロッパの美食家が注目する最先端の調理。科学者と共同で生まれる新しい料理をスーパーカメラで徹底追及。 なんと…
・・・をしようかと思った。 けど、数行書いてみて、飽きたのでやめた。だいじなところに戻っとこう。で、CO2エミッションと環境変化の因果関係は一体誰が証明したんですか? 一応書いておきますが、僕は温室効果がまったく人間のせいじゃないとは思っていま…
これに敢然と「サイエンティフィックに証明してみせよ、出来ないならナンセンスだ!」と主張する人は少ない。 一方で、妄信して(あるいは妄信したフリをして)おカネを政府や企業にせびるシステムは着々と整備され、成果*1は着々と上がっている。CO2エミッシ…
そこに、手心の加わった解釈として「だから現在気温が上昇しているのも異常気象なのも、排出されているCO2が増えているせいなんだ!」と付け加えられたりでもしようもんなら、なんということだろう、CO2を減らそう・サステイナブルな低炭素社会じゃなきゃい…
昨夜の続き。 #どうかしばらくは、毎晩バカコラムにお付き合い下さい。 しかしながら、人類はとても優れた詭弁のゴリ押しが可能な論法を、ギリシャ時代には既に発見していた。 それを使うと、一部の人には大変都合のよい結論を容易におっ立てられる。幸か不…
以前米国の大学に派遣されてた時、エコテロリズムな団体が学内で騒いでたのだが、彼らは 「Are you sure about situation on global warming?」 「Reduce CO2」 みたいなプラカードを持っていた。ちょっとまて。それ、むしろ「How can you be so sure?」です…
通勤中「ビジネス英会話」の2月号テキストを通読。 「今回のビニェットから」のコーナーによると、米国で行われてるHarris Pollの昨年調査では、主要な職業の信頼度について意識(public perception)調査をしたところ、very great prestigeとした人が過半数を…