駄目社員はむの日記

USO800 certified.

アカデミックの方が基礎研究をできなくなる日?

それは、一本の電話から始まった。
セミナーでご一緒した時に知り合った、大手電機メーカーに勤務の同世代Sからだった*1。実に泣ける話だった。先日、人事上の面談があったりしたらしいのだが、

S「すみません、この研究はアカデミックで3年は掛かりますよ。それに成果も上がりにくいと思います」
Sの上司「だから君に頼んでる、1〜2年で」
S「こういった研究案件なら、どっかの企業と共研か委託かすればいいじゃないですか」
Sの上司「ドクターもポスドクも、こういう成果がアンノウンな研究だと彼らの将来にも関わるから、共研を持ち込まれても困るらしいんだ。それに、最近は誰でも彼でもDに行ってドクターの平均レベルが下がってるから、優秀な人に仕事をしてもらえるとは限らない」
S「・・・」
Sの上司「じゃ、そういうことで、君にお願いします」

Sくん(僕と同じくマスター出だったはず;とても頭が切れて優秀です)は、自分が褒められてるのか、使い捨てにされてるのか、あるいはパワハラされているのか、割り切れない気分だったと言う(^^;;;;
#そりゃそうだ。
もしかして今時、基礎研究って、評価に晒されまくる大学において次のポストを探して懊悩するDやPDが担当するよりも、ヘタすりゃ企業の方がやりやすくなっているってことなのか?(汗
まあ、従業員は仮にもパーマネントなポジションだから、2〜3年ぐらい成果が上がらなくても、次の仕事がなくなって放り出されるようなことはないもんね・・・
泣ける話だ、まったく。アカデミックがでっかい夢を追えない時代が来る日も近いのかもしれない。

*1:基礎研究に近い研究をしている。