駄目社員はむの日記

USO800 certified.

足利事件のマスコミ論調に、僕は技術屋として反対だ。

足利事件のDNA再鑑定の件。
マスコミにのせられて「1/800の証拠なんかで判断されたなんてケシカラン」と仰る方が多いようだが、僕はその論調に分析屋として異を唱える。

事件当時の生化学・分析技術のレベルで

技術的にはまだ発展途上だったとはいえ、現実的なスループットで1/800まで事件に関与しうる人間を絞り込めるというのは画期的だっただろうし、また大抵の場合はそれで必要十分だったはずだ。
だから数多くの凶悪犯罪を科学的に捜査し裁けたという点で、僕は十分評価されて良い手法と理解している。


また裁判所の判断も、”799/800の誤っているという可能性を信じない”という十分な合理性を持っていたといえるのではないだろうか。

一方、科学技術のレベルは

その時々によって違うのは仕方ないのだから、発展途上の技術の応用に伴うリスクやエクセプションに、後出しじゃんけんのように後から文句を言う人の科学リテラシーは、なお十分でないと思う。
言うまでもないですが、1/800というとても不幸なババを引かされてしまった方はあまりに救いがありませんけどね。

ただ少なくとも、科学捜査の前提である分析学というのは

常に誤りのリスクを伴う。
(ハシクレの僕も含めて)分析に従事する者は、科学技術レベルに応じ、現実的なスループットとコストの下で精度・確度を向上させ、リスクを低減しコントロールし、分析結果が状況をミスリードしないよう、常に努力することが重要だと思っております。