駄目社員はむの日記

USO800 certified.

イオンの魔力の話。

"トイレ洗浄剤、「銀イオン除菌」効果なし・アース製薬に排除命令"(NIKKEI NET)。
とりあえずこの記事では、「銀イオンがいないじゃないか」ということは概ね分析的に証明しうる事実なので、それは正しい*1
以前の「マイナスイオン」をはじめとするインチキ健康科学・疑似科学ネタは、関テレの某事件をもってようやく収束に至ったかと思いきや、今もなお電化製品にはいろいろ「マイナスイオン」を謳う製品が出ているようであるし、あいかわらず、アルカリイオン水なる訳わからない水を作り出す浄水器も売られたりしてて、後を絶つ気配はない。
この「イオン」という単語、僕ら技術屋には感じ得ない、なんだか不思議な力があるからなのかもしれない。


個人的には、中等・高等教育を激しくエエカゲンに済ましてしまった・あるいは済まさざるを得なかった方々にとっては、「イオン」という言葉がサイエンスとファンタジーの中間ぐらいに感じられている気がしているのだ。
なにしろ「イオン」という単語、ionを誰がそう読み違えた*2のか知らないが、そう発音すると日本人にとっては何とも響きがいい。シンプルにも三文字で、イで始まり、ンで終わる。シンプルにして実に美しい響きの単語であり、小難しさ・学術臭さが少ない一方、不思議な神秘性を放つ。言葉には実物をはるかに上回る魔力が宿り、懐疑心を減退させる*3
#たぶんそれは、英語読みっぽいアイォンでも、カチオンやアニオンでも駄目なんだと思う。


そのファンタジーの部分が、謎な付加価値を与え、健康グッズを多数発生させてしまうのかも。

*1:銀イオンによる除菌ということ自体には言及していない。僕には銀イオンによる除菌・消臭効果というのが化学屋として今一つ理解できなかったりするのだが、まあそれはそれとして・・・

*2:英語ではアイォンとしか読めないので、ドイツ語読みなんだろう。

*3:天野祐吉氏が「私説 広告五千年史」の中で言葉の魔力について興味深いことを書いているので、ご興味ある方はご参照いただきたい(^^;