駄目社員はむの日記

USO800 certified.

フィジカルケミストリーの源流を探る。

2007年のノーベル化学賞は物理化学(physical chemistry)が取った、というのはとても嬉しいトピックであった。
現代の化学の研究者は、何となく物理化学の知識を使いこなして化学現象を読み解いている訳であるが・・・


なんとなく、サイエンスの歴史において、物理化学という化学の一分野が誕生したと見なせる基点をどこに置くか、と考えてみたのだが、たぶんオーソライズされた基点はないのではなかろうか。たとえばWikipediaの「物理化学」の記述では19世紀中盤の熱力学がそのスタートであると主張しているが、聞く人聞く人見解は違うだろうと思う。
僕個人の見解では、物理化学が”誕生”して約120年が経過する、もっというと「来年で120年を迎える」、そう理解していたりする。何故そんなにハンパに具体的かというと、1889年という年に、物理化学が産声をあげたと称するに足る論文が発表されたからである*1
(たぶん続く)

*1:個人的見解なのだが、物理化学は「化学(反応)を物理チックに解析する」分野であるとの立場を取っている。つまり、解析対象は化学反応(化学現象)であり、反応の進行は熱力学・速度論両方の支配を受けるわけだから、研究分野として先行した熱物理学は、化学への物理的なアプローチとしての物理化学とはまだみなせないと考えているのである。