駄目社員はむの日記

USO800 certified.

EFHWアンテナなるものを更に(1)

またEnd-Fed Half Wave antennaの話。

端部給電のダイポール、つまりEnd-fed Half Waveと総称される。略してEFHWである。
ダイポールを端から給電することでハイインピーダンスとなるところを、給電点に工夫をしたものは、総じてEFHWのはずである。

日本では、ツエップライクアンテナ(Zepp-like antenna)と称されるタイプが人気だった。

  • 片側給電ダイポールは、サガ電子工業から80年代以降売られていたものが有名で、LCマッチでハイインピーダンスにしてあとは半波長のワイヤーをつなぐだけなのは素敵だった。同社は「ツェップ型ワイヤーアンテナ」と自称していた。*1

  • ハムフェアにてJAIAが行った「アンテナ大研究!」というプレゼン。そこに掲載された7MHzのツェップライクアンテナのLCは再現性が高く、同様の定数を使用した作例が多い(たぶん中身はほぼサガのそれと同じなのだろう。)

  • 以前この日記にも登場したコブラアンテナ(同軸スリーブダイポール)も広義では端部給電のダイポールに違いない。英語では、Resonant Feedline Dipole (RFD)とも呼ばれるそうだ。
    • 僕自身ローバンド用の同軸スリーブアンテナは、ローパワー用・ハイパワー用それぞれ作ってみたが、ダイポール相当のアンテナとして良好に動作しており、おすすめのアンテナの一つだ。

ご参考:ローバンド用スリーブアンテナ カテゴリーの記事一覧 - 駄目社員はむの日記

一方米州のEFHWの主流は、給電点にUN-UNを入れるタイプだ。

特に1:49(巻き数比1:7)のトランスをかましたものが定番らしく、給電ボックスの市販品もあるらしい。



ネットにある大半の記事は、FT240-43の一次側2T:2次側14Tとしたアンアンでインピーダンスを50*50 = 2.5kΩ位まで引き上げているのと、一次側(無線機側)に補正用の固定コンデンサ100pFを入れてある(K1TA方式?)。
多くの引用があるのは、provenな証拠だろう。
The End Fed Half Wave Antenna(K1RF)
End Fed Half Wave MultiBand Antennas(WA7ARK)
A shortened multi-band End-Fed Half Wave (EFHW) antenna for 80-10m
End Fed Half Wave Antennas: Is a Primary Capacitor Really Needed?


あとはGND側にショートワイヤーを垂らすか垂らさないか、100pFの固定コンデンサをバリコンにするか、巻数を変えるか、トラップ入れてマルチバンド化・・・などバリエーションがある模様。

僕が個人的に気になるのは最初に挙げた「ショートワイヤー」だ。

  • 豚のしっぽ的な数十センチのワイヤーを加えることで、完全な端部給電=電圧腹になるのを避ける狙いがあるのだと思うけれど、要否に関し各記事の記載はまちまち。
  • 純然たるエンドフェッドではなくなろうと、ちょいインピーダンスを下げ、あと同軸に電波が乗るのも防げ、動作が安定になる予感はする。

EFHWアンテナの給電部の作り方

をお探しの方がいましたら、以下ご参照ください。

*1:時々ツェップアンテナとの表記もあるが、そっちはツェッペリン号に使われてたタイプのアンテナなので、おそらく適切ではない