駄目社員はむの日記

USO800 certified.

W7IUVプリアンプのその後と、小改良(しっぱい)

その後のW7IUVプリアンプ。

日本橋デジット(など)で手に入る高周波トランジスタNEC 2SC2952」を使った「和製W7IUV preamp」。



初回試作からもう2年半になるが、W7IUVプリアンプはシャックと自宅で稼働している。
復習になるが、W7IUVプリアンプは、良好なOIP3をキープしつつ20dBのゲインを得るMF~HF帯のプリアンプである。

  • 超高fTの高周波用NPNトランジスタに、バイアス電流ガバガバ流し、石がチンチンに熱くなる条件で動作させる。またNFBをガッツシかけて(HFで使うと容易に発振しかねない)増幅回路を安定化させつつ、広帯域化をさせている。
    • 掛けるバイアスとNFBの都合、動作電圧は12.0V~13.8Vが指定されている。
    • きわどい動作点で使っているだけに電源電圧がオーバーシュートしたり、放熱が甘かったりすると、容易に石が飛ぶので注意だ。
  • 受信用アンテナ用プリアンプが本来用途なのだろう。けれど我が居城では、実際こいつを「受信アンテナでの受信用」だけでなく「送信兼用アンテナで受信しているとき」にも使っている。
    • 実感として、HFローバンド〜ミッドバンドのSSB/CW運用中このプリアンプを使用すると、微弱信号の了解度をかなり上げてくれて頼りになる。AMラジオ(=中波)でもう少し信号強度を欲しいというケースでも、周囲の強力な放送局の信号で聞きにくくなることがないのが素晴らしい。
    • リグ内蔵のプリアンプにありがちな、ノイズ・信号まとめて「ずざー」とただ騒がしくさせだけの、Sメーター増幅器ダメプリアンプと違うのだ。

電源電圧に関し、シリーズレギュレータで安定させてみようと思う。

無線でよく使われる電源電圧は13.8Vだが、石の保護と安定動作という点でも、できれば非常に安定な12.0Vをプリアンプに供給したい。されど古典的なシリーズレギュレータである「三端子レギュレータ」は電圧ドロップアウトが2V以上と大きいため、12Vに落とそうと13.8Vを入力するとギリアウトだ。


そこで注目したのだが、低ドロップレギュレータ(LDO)。秋月に売っている12Vタイプの低損失レギュレータNJM2396F12を試してみることにした。
低損失レギュレーター 12V1.5A NJM2396F12 (5個入): 半導体(モジュール) 秋月電子通商-電子部品・ネット通販

NJM2396F12を試す。


指定値通りのコンデンサをぶら下げて予備実験。その後コンデンサを多少いじってみた。
12.5V入力で平気で12.02Vを吐きやがる。LDO超有能。


これで、13.8Vであろうが15Vであろうが、プリアンプに12.0Vを供給してくれるのだ。これをW7IUVプリアンプに入れたら13.8V以上入ろうが駆動電圧を平準化させられ、より安定動作かな!

ところが、プリアンプに「その12V」を供給してみたら、

W7IUVプリアンプがつないだ無線機に対し、HFじゅうにノイズをバラまいている。
LDOレギュレータによって、「NFBローノイズプリアンプ」が「ノイズジェネレータ」に化けてしまった。しかも石に触るとばらまかれるノイズが激増する。Omg...
見事動作として裏目った。これを本末転倒と言わずしてなんとする。

少し調べるとLDOその代償として、はMF~HFにノイズをばらまくことが分かった。

「AN-1120: ロー・ドロップアウト(LDO)レギュレータのノイズ源」https://www.analog.com/media/jp/technical-documentation/application-notes/an-1120_jp.pdf
LDOの出力電圧に、わずかにノイズが乗っています。ノイズを小さくするにはどうしたら良いですか? | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 | 日本


電圧ドロップが大きくても、単純なバイポーラトランジスタによるレギュレータがいかに素直でノイズが少ないかを痛感。

結論:実験は失敗だが、学びはあった。

単純なシリーズレギュレータは、アナログ機器を駆動する電源として正義。やっぱ78XXよ。