駄目社員はむの日記

USO800 certified.

日がな一日宇陀宇陀して過ごしました(伊勢本街道→室生古道、逆ルート) (2)

0840、第一チェックポイント「仏隆寺」着。



桜の名所として名高いこの山寺は室生寺の末寺であり、シーズンオフだけあって、静まり返っていた。
むしろ、柵でガッチリイノシシやシカを阻んでいる。
お寺の近所に設置されたワナ(箱罠タイプのアニマルトラップ)、シカがかかって暴れていたな。

仏隆寺~室生寺間は、室生古道のハイライトだ。


さて、室生寺まで5.6km。

仏隆寺を後にし、コンクリの敷かれた道から砂利道と変わりつつも、登坂続き。



ひとしきり登ったら、以降はアスファルトの林道に出て、緩やかな下りをしばらく歩く。

このルートが僕は好きだ。自然音しか聞こえない林道を独り占めである。やがて小川に沿って歩くことになる。静寂を愉しむ快適なウォーキングだ。

にわかにチェンソーの音がする。


絶賛、杉の間伐中でした。
林業従事者の皆さん、心から感謝しております。僕には傾斜地の途中で杉倒すとか無理です。僕ら外様の古道ウォーカーが明るい道を歩けるのも、皆さまがおられるおかげ。

室生寺が近づく。

下りながら、腰折れ地蔵、西光寺と見ていく。

1015頃、第二チェックポイント「室生寺」に至る。


仏隆寺から歩いてきた巡礼者は、室生山系の山上から、谷川を挟んで対面に並ぶ室生寺の全景を見下ろしつつ、谷底にある寺の入口までおりるのだ。

室生寺は、真言宗室生寺派大本山であり、昔から「女人高野」としても知られているという*1。最近はさらに、長谷寺他と組み、「奈良大和四寺巡礼」という売り出し方もしているらしい。
先日訪れた長谷寺真言宗なわけだが、真言宗のなかでも高野山金剛峰寺を頂点にしたヒエラルキーがあり、それぞれ総本山・大本山を名乗りあっていても、なにやらいろいろあるらしいですね。*2
ご参考:女人高野 室生寺奈良大和 四寺巡礼 | NARA-YAMATO Four Temple Pilgrimage , Hase-Muro-Oka-Abe

重要文化財な境内。

前回来た時には時間が読めず境内を回れなかったので、今回こそはと600円払って入る。
なにしろ、「この寺まるごとが、重文」であり、宗教建築も仏像も国宝だらけという、長谷寺に負けず劣らずスーパー山寺だ。

  • 仁王門をくぐり、鎧坂という階段を登ると、国宝の金堂。中の菩薩・如来の意匠をじっくり観察(もち写真NG)。

  • これまたいずれも国宝の本堂、五重塔(ちいさくてかわいい)と、階段で山を登りながら見所を制覇していく。谷底にある仁王門から、見晴らしよい山の中腹へと上がっていくのだ。




紅葉もなかばな今の風景を、「残念~」などと一言で切り捨てている人々をちょくちょく見かける。そんなあなた方こそ、日本的な美学、変化の兆しの趣を解さぬ残念さだ。過程と余韻を楽しもうぜ?

  • 奥の院には、かなり直線的でハードな石段を経て達す。



さすがにこの石段は、ヒールが高い靴では上がれまい。そこそこしんどそうなご年配方。


や、ローマ字で読めても困るやろ。

*1:4ヵ所が知られる「女人高野」のうち、慈尊院高野山女人堂、あとこの「室生寺」は訪れたことがある。

*2:室生寺は、もともと長谷寺を総本山とする真言宗豊山派だったのが、昭和中期に「室生寺派」として独立しているそうだ。