「低打ち上げ角によってDXに届きやすい」とされるバーチカルアンテナ。基本形は、1/4波長の垂直な導線、とアースだけだ。
その魅力の反面、アマチュアでの評価はあまり高くない。それはひとえにアンテナの建てにくさのせいだ。動作上「電流分布の腹部分が地べたにある」なためにアンテナの性能が周囲の遮蔽物の影響を著しく受ける上、「良好な接地を取れるかどうか」(アースのとり方・大地導電率・ラジアルの作り)にもひどく影響を受けることに起因する。
HFにおいてバーチカルは決して「ダメなアンテナ」ではない。が、再現性が非常に悪い(=それゆえ失敗例が多い)アンテナであることは確かだ。アース棒をしこたま打ち込んだりラジアルの電線をいっぱい生やしたりした挙句結局上手く行かなかったケースなど、枚挙に暇がない*1。
結局、ハム内の体験談の平均的評価も「あれはいいアンテナだった」にはならない。不憫なアンテナである。
一方、非接地型の代表であるダイポール系のすばらしさは、とりあえず大体の長さに調整すれば、多少折れ曲がっててようと遮蔽されてようと、周辺の影響を受けながらもなんとなく電波がお空に飛んでいくことにある。ループ系も同様だ。
先日アレコレ書いてたスローパーの”意外な好結果”も、「電流分布の腹部分がお空に浮いてる」おかげである。
HFのバーチカルアンテナ(にかぎらず接地系アンテナ)が良好な動作をしているか
は、SWR特性を見ると一目瞭然だ。
良好なバーチカルは、ちゃんと共振していてQが高い。これに対しアースがイケてないバーチカルは、SWRが低い範囲がやたらブロードだ。
眉唾物のアンテナ製作記事で、「電波がホントに飛んでんのかよ」というのを見つけたら、SWRのプロットを見てみるといい。*2