スローパーのエレメント長は1/4波長が基本だが、3/4波長, 5/4波長,...と奇数倍でもそれなりに動作する。
#3/2波長ダイポールなどの高調波アンテナと同様である。
cf. ちなみにバーチカルでは3/4波長は嫌われる。
バーチカル設置の意図はほぼ”DX向け低打ち上げ角”だが、3/4波長バーチカルではどよんと高打ち上げ角となり、そのメリットが失われる。5/8波長が良いらしいが。
シミュレーションするまでもなくわかることだが
エレメントを3/4波長にすると電流腹部分が2ヶ所に増えるので、その両方から上手く電波が輻射されるよう設置できるかがポイントと推測される。
#電流の乗り方は「元のλ/4+λ/2 DP」の二段腹なイメージ
3/4λスローパーのビームパターンは、シミュレーションでは概ね「F/S比は取れる、F/B比が軽く出る」*1といった結果が得られるはずだ。見ての通り、高打ち上げ角だ。垂直成分も多い。
3.8MHzなどの3/4波長スローパーの作例はCQ誌などで紹介されている
一方、OM諸氏の経験談はバラバラ。3/4波長にすると、
- 「タワーに設置してるアンテナの嵩高さで動作が左右され敏感」
- 「受信ノイズが下がり、エレメントの方向に指向性とゲインが出る」
- 「3/4λがいいと聞いて試したけど、1/4λと差がなかった or 全然好結果が得られなかった」
などなど。
- まあ1は、グラウンド側にも電波を乗せてるんだから当然影響があるだろう。
- 2の記述は、タワーに八木を容易に上げられないローバンドにおいてはなかなか魅惑的な響きだ。シミュレーションしても、確かにエレメント展開方向にいくらかの利得がある指向性アンテナだ。
- しかしながらOM諸氏のお話は、3の”いろいろ検討したけど、結局やーめた。ダイポールに収まったよ”という顛末が多い気がする。
- 3/4波長をフルに張れるってことは、少なくとも半波長のスローピングダイポールが余裕で張れるのである。それでいいのだ。
なお、2のような話は、恵まれたロケーションのOMからしか聞いたことがない気がする。
*1:条件設定によって異なるものの