駄目社員はむの日記

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宗教都市・大阪を歩いて学ぶ (2)

従前:天王寺七坂周辺を歩いている。

愛染堂勝鬘院(しょうまんいん)。


「あいぜんさん」、と呼ばれてるらしい。
松竹映画「愛染かつら」に登場する「縁結びの霊木」で知られる・・・らしいが、そんな古い映画見たことある日本人はもう限られている。僕もタイトルとしてしか知らない。*1



16世紀に再建されたという多宝塔(重文)が、実に美しく建つ。均整取れすぎでしょ・・・軒反り美し。

「アナザー清水寺」は外せない。

和宗総本山四天王寺の支院だという。仮本堂で営業中。

市内唯一とされる「滝」では、ちょうど滝行が行われていた。周囲に森もないのに滝とな?・・・いやツッコミは野暮だ。

清水の舞台もあるでよ?



お、おう。

更に、安居神社(あるいは安井神社)。


道真公がここに立ち寄って休んだとの言い伝えに由来する「安居」神社である。



そんなことより、境内には真田幸村像がぬっと建つ。大坂夏の陣の際この境内で討ち取られ・・・つまり最期の地となったのがこの神社だったという(諸説あり)。
ゆっきーがべた座りキメちゃってるのは「瀕死だから」なのだろう。ここでサボってたみっちと違うのだよ、みっちとは!
真田幸村は、勇猛果敢さ+結局力に負ける悲劇のヒーローとして、日本史で田舎侍とは思えぬ過分な扱いを受けている。ヤマトタケル大友皇子菅原道真源義経と、日本人好みな「判官びいき」の系譜である。*2

浄土宗・坂松山一心寺。


トゥーリスティックさとローカルサービスを兼ね備えた、大寺だ。

広い境内と本堂の威容はただただ素晴らしい。


創建は源平争乱期という。無性にロウソクや線香をたきたくなる危険な魅惑がある境内だ。あちこち煙たい。お客様は、日本人と外国人半々ぐらい。
ご参考:一心寺 | お骨佛の寺・納骨とおせがきの寺 一心寺

ようやく第3チェックポイント「四天王寺」。



前回は欲と道連れで古本漁りに来てしまい、お参りらしいことは何一つできなかったので、今回はまじめに。

  • 言わずと知れた大阪を、いや関西を代表する大寺院であり、歴史・文化の一中心と言える。広大な境内を歩く。
  • なんでも作りなんでも命じちゃった超級善政レジェンド兄さん聖徳太子が作らせた。いわゆる「ゴクミも知ってる聖徳太子」で知られる593年創建だ。
    • 氏は574年生まれらしいので、19歳位で立太子&摂政となり、その年のうちにいきなり四天王寺を作りに行っちまいやがるのだ。これぞモモタロス「俺は最初からクライマックスだぜ!」である。
    • 法隆寺四天王寺はいずれも「聖徳太子建立七寺」とされるが、それぞれ聖徳宗総本山、和宗総本山だ。これら寺院間の関係性、もしかしてややこしいのだろうかと、歩きながらいらんことを考えてしまう。*3

うーん、この境内だけで丸一日、際限なく時間をつぶせそうな予感がするよ。

四天王寺式の伽藍を味わう。


300円を払い、「伽藍」を学ぶ。
四天王寺といえば、日本建築史に名を遺す金堂と五重塔の位置関係、つまり「四天王寺式伽藍配置」である。

ちょうどそれが見える位置から撮影したのだが、超ザックリ言えば 「南門」のさきに回廊に囲まれたコア部分があって、その中に「(手前)中門→塔→金堂→講堂(トイメン)」と直線的に並ぶ「一塔一金堂式」が、四天王寺式、だったはずだ。*4



五重塔にも登ることができるが、見晴らしがよいわけではない(知ってた)。
なおこの辺りは大阪大空襲などによって大半の寺院建築が焼き払われているため、金堂・五重塔など大半が昭和20-30年代に再建されたものである。従い建物の重文は*5境内に少ない。


他にも境内で小一時間いろいろ観たが、以下略。
(つづく)

*1:TVで流れているのを子供のころ観ようとしたが、当時すでに耐え難いobsolete感があり観てられなかった。

*2:親(ちか)しい者の嫉妬と裏切り、そして滅びの美学。大好物でしょ?

*3:和宗は「和」を以て貴しとなすに由来すると、境内のキャプションにあった。聖徳宗は「聖徳」まるまんまだろう。現存する六寺は「聖徳宗」に属するものを除くと宗派はばらばらだとか?

*4:金堂・塔を両雄並び立たせる法隆寺、ツインタワーを前面に押し出す薬師寺、金堂サラウンドシステムにしちゃった興福寺など、それぞれの伽藍配置はキャラが強い。

*5:門などを除くと