駄目社員はむの日記

USO800 certified.

下ツ道はどれくらい現存しているかウォーク、プラス(3)

奈良市に入る。

橿原から田原本町天理市大和郡山市、と、ずいぶん長い道のりだった。
というかもはや下ツ道ウォークではなくなったのだがね。

オプショナルツアー(2):そうだ、(西ノ)京、行こう。

平城宮には2月に来たばかりだ。ただ再訪問するのは、少々興が乗らない。
そこで、「西ノ京」地域を学びに行こう。僕の記憶が正しければ、初めて訪れる。




近鉄橿原線に沿って北上すると、あの有名な意匠の塔が見えてきた。や、世界遺産だぜ?
どうでもいいが宗教ってのはどうして、鐘を鳴らし、歌を歌い、高い塔を建てる方向へと、とりあえず向かってしまうものなのだろうか?

世界遺産法相宗大本山薬師寺


そういえば藤原宮のそばには、「本薬師寺跡」の遺構があった。
それが遷都に伴いまるっと平城京西側へ移築されたのが、現在の薬師寺の前身なのだろう。

アドミッションフィー1100円を払い入場。

  • んー、お高い。お高いが、わざわざこれのために来る人しか来ないので、敷地内は比較的すいていて快適だ。でもいささかトゥーリスティックな香り。
  • 仏像に関しては多数の国宝・重文を擁するが、実は建築物の国宝は少ない。東塔・東院堂のみだ。大半が1970年代以降に再建されたもの。すなわち昭和~平成な建築物らしいのである。建屋は、きれいすぎる。





とはいえ、「天平時代の寺院建築」を代表する東塔はじっくりと見て楽しむに値する。


上記の気づきもそうだが

実際に来て実物を目にすることで実感することのなんと多いことか。
「エクスペリエンスが読書に勝る」時間はしばしば訪れるが、事前の学びがあることで、エクスペリエンスはエンハンスされるものだ。

金堂で三尊、東院で聖観世音菩薩を堪能。

如来様の後光ぶぶん(光背といいます)の金属板、どうやって成型しているんだろう。工学的な興味がわくよ。
#撮影不可の仏像こそが薬師寺の見どころです。




最後に、大唐西域記でおなじみ玄奘三蔵にちなんだ三蔵院伽藍と、画伯によるシルクロードの絵画を見る。ええと薬師寺さん、三蔵法師とどういうご関係で?(ふべんきょうでわかってない)*1



仏像には相応に感動を覚え、後にした。
さらに北へ。日差しはだんだん強くなり、初夏のような陽気に。

世界遺産律宗総本山・唐招提寺


こちらも世界遺産。正直、本日の大本命。
例の「鑑真」でおなじみ唐招提寺である。アドミッションフィー1000円。
こちらは仏教建築の大半が国宝。

建物の優美さ、仏像の優しい表情。魅了されずにはいられない。

金堂の三尊(建物も仏像も国宝)、講堂の如来(同左)。



お約束の金堂。写真で何度も見てなんだか無感動になっていた自分を恥じた。なんて美しいんだ。
実物を目にしないと感じえない、軒ぞりの優美な曲線。



そして講堂。平城宮の東朝集殿が下賜・移築されたものだというのだ。
先日平城宮跡を訪れたわけだが、大極殿ほか各建造物の考証と復原をするうえで最大限リファレンスとされたであろう、パーフェクトなサンプルがここにあるのである。


宝蔵・経蔵はというと、めっちゃ校倉様式。あまりに楽しくて頭バグりそうだ。



庭に、しれっと遺構。

当然の鑑真和上、全力推し。


教科書でおなじみ、国宝和上像は年数日しか公開しないらしい。代わりに毎日ご尊顔を拝せるレプリカがあったり、和上御廟があったり。
決して広くはない敷地のなかで、目が回るような仏教ワンダーランドを体験できた。


すごいぞ、楽しいぞ、西ノ京。
(つづく)

*1:追記:インドから経典を持ち帰り、法相宗の起点となった僧こそが玄奘だったらしい。だてに岸部四郎堺正章連れて冒険活劇してはいなかったようである。ザッツ不勉強。