”低打ち上げ角でDX向け”と称されるVPDL(垂直偏波デルタループ)アンテナをあえて7MHzの国内QSOに用いると、このアンテナの特徴がいろいろ見えてくる。
DX向けだとはいえ、残念ながら国内局の信号強度は総じてあまり低くなってくれない。
しかし昼間の7MHzを聞いていると、八木やダイポールだと普通に聞こえる局が全然聞こえなかったり、交信している複数局の信号強度比がそれらアンテナで聞くのと全然違ったりして、とても興味深い。
- まず打ち上げ角の問題。VPDLの打ち上げ角の低さのために、伝搬経路に得手不得手があるのかもしれない。
- 具体的には、シャックで聞いてみると2, 6, 8, 9, 0エリアの局が妙に弱かったが、1, 3, 4, 5, 7エリア(但し福島県はダメ)はばっちり受かっていた。1エリアの近所(特に神奈川と東京)は非常に強く受かる。
- ざっくりだが、うちから2エリア(名古屋)で300km、6エリア(福岡)で900km, 8エリア(札幌)が900km。そういえば富山や新潟も300km程度だ。その間に位置する3-5エリア・近場や7エリアの大半だと問題ないところをみると、VPDLには同心円状にスキップしやすいゾーンがあるようにも思える。
- 直感的かつ乱暴な解釈かもだけど、アンテナの低い打ち上げ角によってF層への入射角範囲が制限されて、特定地域が不感地帯になっちゃうというイメージでいいのかな?
- 次に、偏波の問題。
- 八木(水平偏波)ではほとんど信号強度が安定している相手局を、VPDL(ほぼ垂直偏波しか放射されない)に切り替えて聞いてみると、信号がフェージングでバサバサ変化するような状況にまま遭遇する。特に上記の”妙に弱かったエリア”でも、まずまず聞こえている局でしばしば起こる。*1
- 相手局との偏波面の相性かもしれない。電波は電離層で反射されるときに偏波面が乱れるし、複数のパスで飛んでくることが珍しくない。とはいえ1-2ホップ位で届く国内QSOだとさほど偏波面は乱れなさそうだし、水平偏波同士の方がいいのかもね。
- あと、VPDLは常にノイジーでバンドが常にワサワサしている。”ノイズを拾いやすい垂直偏波”なアンテナの宿命のようだ。ループアンテナだからといって、ノイズに強いとは限らない。
*1:VPDLで聞いてて「コンディション落ちてきたかな」と感じても、八木に切り替えると安定に入感してて弱くなる兆しすらなかった、なんてことがしょっちゅうだったりします。