駄目社員はむの日記

USO800 certified.

リニアローディングタイプのデルタループアンテナ(SDL)を考える。

はじめに。

この日記ではデルタループアンテナ、それも垂直偏波デルタループ(VPDL)を何度となく研究してきた。
3.8Mや7MのVPDLは実際に張って実験を行い、長距離のDX局へ何とか電波を送り届けられることを検証済みだ。
鉄塔がない状況で、それなりの高さのポールと土地があるならば、1万円以下の投資で、十分戦力になる良いアンテナ(特に送信アンテナとして)である。


デルタループは、口の悪い人に言わせれば「でかい割に飛ばない」。
「飛ばない」は、利得と指向性がなく、鉄塔上のビームアンテナと比較すりゃ正しいけれど、デルタループが「でかい」というのは、否定の余地のない事実である。


ローバンドで1波長の長さのループを展開するのはうっとうしい。
とはいえ、短縮コイルを入れると使える帯域は大幅に狭まるだろうし、性能は犠牲になる。コイルを外すとなると、リニアロードかキャパシタンスによる短縮?なんとかその辺をあまり犠牲にせずに、多少の小型化を達成したいものだ。

そこで、リニアローディングでシュリンクさせる方向で考えてみた。

クワッドではいろいろ試された例もあるので、デルタループで検討する。
#クワッドについては、W4RNLのSHRUNKEN QUADSが詳しい。"shrunken quad antenna"などとググってほしい。
名前はひとまず、Shrunken Delta Loop(SDL)とでもしとこうか。


MMANA先生に聞いてみる。

アプローチ:7MHz用二等辺三角形ループ、頂部8.5m高は変えず、底辺を引っ張って調整。

  • 頂部は8.5m高に固定した。しばりのこころは、1万そこそこで売ってる10mグラスファイバー竿を使って「二等辺三角形のループ」を引っ張り上げるとすると、底辺を地面から1.5m離すことを想定し、実質底辺から8.5m位上げることになるだろう。
  • それに、3.5MHz用に倍スケールで作る場合も、20m高のマストからループを吊った場合の参考になる。3.5MHzで20m高から80m長の二等辺三角形を結ぶと、ものすごくつぶれた平べったいものになってしまう。実際テストしたことはあるが、見た目からして幅広が鬱陶しい上に、如何にも効率悪そうなのだ。
  • リニアローディング部分は、頂部から20cm幅のふんど・・・じゃなかった平行フィーダー状の短縮部を垂らす形にしてみた。平行線の幅が狭すぎると動作に悪影響大きそうだし、広すぎると重量をグラスファイバー竿で支え切れない上に、並行に保持しにくい。*1
    • ひとまず約1/4波長=10m分をリニアローディング(5m→20cm→5m)に担わせてみた。となると、残りは3/4波長+α。約30mの長さを展開ればいいことになる。42mと約30mでは、制約はだいぶ小さい。

リファレンス:8.5m高、リニアローディングなしの水平偏波デルタループ(HPDL)。



底辺の中央で給電し水平偏波とした。二等辺三角形の底辺長は18m(=回転半径9m)にもなり、平べったい。
大体想定通りの動作。

水平偏波・リニアリニアローデッド・デルタループ(HP-SDL)。



同じく底辺中央給電。リニアロードを入れると、横幅は14.4mまで狭まり、だいぶ正三角形に近づく。
Z 30Ω位と妙に低くなる。意外にゲイン低下はない。ほほう。水平偏波で電波が真上に打ちあがるので、国内向け移動運用に使うならいいかもしれない。回転半径7mだし。

オマケで、垂直偏波・リニアローデッド・デルタループ(VP-SDL)。



垂直偏波にするための給電点については、フルサイズVPDLに関しては過去に本日記に色々書いている。
SDLのケースでは、斜辺の真ん中で給電すると、おおむね垂直偏波が得られた。なぜか、横幅は水平偏波SDLよりかなり広げなければ(15.2m)SWRは下がらなかった。
Z 81Ω。そこそこに垂直偏波デルタループ(VPDL)しているではないか?




続く!(そのうち)

*1:斜辺の途中にリニアロードを入れるという手もあるが、それはまたいずれ。実際電線を引っ張ると、ふんどし形状を保持させるのが難しいと思うが。