駄目社員はむの日記

USO800 certified.

ピコ7にはロマンがある。


ミズホ通信(株)が80年代初頭〜2000年代初頭まで継続販売してくださっていたモノバンドハンディトランシーバ、ピコトランシーバー。通称ピコ。

  • 無骨で重量感あり、いろいろツッコミどころがあるリグだとは思うが、このサイズとミニマルな機能ながら単3電池のみでどこからでもHF/6m/2mいずれかのバンドのSSB/CWに出られて、そこそこのアンテナにつないでコンディションに恵まれれば、思わぬ通信が”できることがある”*1のが底知れぬ魅力なのである。このワクワク感に惹かれてか、ミズホ製品のコレクターは多い。
  • 特にピコ7(MX-7S, 7MHz帯)、ピコ21(MX-21S, 21MHz帯)、ピコ6(MX-6S, 50MHz帯)が定番機種で、これらを一度は買ったことがある人が少なからずいるはず。とはいえ実用的に使うには技がいろいろ必要で、結局(立ち位置がなくなって)シャックの肥やしになっている個体も少なからずあるかも。
  • 今やミズホ通信が廃業してしまっており、不調になると自力で直さねばならない。

当方には複数台ピコがあり、ピコ7スーパー(MX-7S)*2もその一つ。


  • ピコ7は、他バンドのピコに比べると実用的だったと思う。Eスポなどコンディションに著しく左右されるハイバンド〜6mや、安定に開いてもある程度パワー・アンテナがないと苦しい3.5MHz帯・14MHz帯に比べると、7MHz帯はアンテナはデカくなる反面、季節や時間によらず誰かはそれなりの信号強度で聞こえる。同じ2Wのピコでも、7MHzであればローパワーで呼んでQSOに至る可能性が高い。
  • ピコ7の一番容易かつ実用的な活用法は、CW専用機にすることだと思う。出力2WといえどもCWならば、インバーテッドVにでもつなげばほぼ終日QSO相手には困るまい。アンテナさえしっかりしていれば、”ちっちゃい無線機で全国とQSOを愉しむ”というピコ本来の醍醐味を日々味わう早道。



というわけで非力な2Wのリグであるピコ7が”現代の7MHzで”どこまで遊べるか少し考えてみることにした。まずは手持ちのMX-7Sの現状確認。中古で入手したものだ。完成品かキットかすら不明。

  • ケースは(世代により灰・銀・黒があるうち)銀色。ケースに小傷多し。但し内部の腐食等はほぼ皆無。
  • VXO水晶は、7X-25S(7.025-.050MHzカバー)のみ。純正品の初期装備が7X-75S(7.075-.100MHz)のはずなので、前オーナーが無くしたのかも。これが非常に残念。
  • NB(ノイズブランカ―)ユニット入り。完成品には内蔵、キットではオプション装備だったので、前オーナーが買ったのは完成品だったのかもしれない。
  • 出力を測定すると、1.5W程度(カタログスペック2W)。少し離調気味か。
  • 実は水晶を除くといろいろオプションは持ってたりもするのだが、それは使わない縛り。



うー、このホイップアンテナどうしろと(汗

限られた電力で通信に成功するQRPにも、ロマンはある。

が、僕は基本的にQRP一筋ではないし、片方がQRPであるせいでギリギリ感あるQSOになるのを、みんながみんなお互い愉しめていると思っていない。個人的には、国内のSSB QSOなら50W〜100W程度は出しあい(合法的にね)、双方R5で中身のあるQSOができる方が好き。
コンディション悪い日に、QRPerが○○/QRPでしつこく呼んで聴き取りにくい信号を交信相手に押し付けた上、「QRP表記したQSLカードよこせ!」と迫るのはおなぬーだ。QRP運用するなら、聞き取って頂く相手局への誠意と思って、それにお互い面白がれるように、せめてアンテナは可能な限りよくしようぜ。

ではこのピコ7をどうしていこうか?考えてみた。

今は手元に測定器がほとんどない状況なので、調整等は後日ということになるが。

  1. 本体を調整しなおすのはマスト。出力が低い原因はキャリアポイントズレ・送信系全体の離調と推測。
  2. もしCW運用中心に使うならエレキー・セミブレークイン・サイドトーンは欲しい。あとオーディオフィルターも。CWフィルターは入手ムリだよな。
  3. 一方SSB機として使うなら、送信音は改善したい。エレクトレットコンデンサーマイクカリカリした送信音がいただけない。
  4. 出力をもう少し上げるのは、実用性向上に有用。10-20W位に上がると楽にQSOできるようになるはず。リニアアンプを繋ぐのがいいかな。*3
  5. 現在内蔵のVXO水晶のカバー周波数範囲が微妙に使えないのを、何とかする。ピコ発売当時の40mバンドプランでは、7.030を境に下がCW/上がSSBだったので、7X-25SでCWもSSBもそこそこに楽しめただろう。現在は7MHz拡張とバンドプラン改正で、7.045がSSB/CWの境になり、CW QSOの大半は7.000-025に下っている。なので7X-25Sの周波数カバー範囲は絶妙に過疎っておりあまり役に立たない。可能ならば、CWなら下端、SSBなら7.10以上に出る方法を考えたい。

*1:出力は1〜2Wなので、よほどの設備でもない限り”いつでもできる”ということはないが。

*2:MX-7Sは正式にはピコ7スーパーと呼ばれるが、幣日記ではピコ7と表記します。1983年頃からミズホ通信がリリースした新ピコシリーズは、旧シリーズ(ピコ2、ピコ6、ピコ15)から一新したため”ピコ○○スーパー”と名付けられましたが、今や新シリーズの方が一般的であること、また7MHz版は新シリーズでしか出ていないので、特に毎回”スーパー”と書かないものとします。

*3:純正品の10Wリニアアンプというのも存在し、電話級の正規最大出力まで上げることができた。リニアアンプのキットバージョンはバラからの組み立てになるので、そこそこの難易度だ。