駄目社員はむの日記

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垂直偏波デルタループ(vertically polarized delta loop)とは?

“ループアンテナは(ダイポールに比べて)低打ち上げ角で、DX向き”

は、古典的理解(というか定説)として存在してきたと思う。
日本で実しやかに語られてきた有名なホラ話、「ヘンテナのゲインは4エレ八木相当!」には遠く及ばないものの、首記は十分神話(myth)レベルである。


しかし現在となっては、そのような単純な説明(というか俗説)は通用せず、数々の実験により、1λループアンテナは形状・給電位置によって水平成分・垂直成分がかなり変わってくることが分かってきている。
そのあたりは現象論的には80年代から議論されてきたようだが、アンテナシミュレーションが一般化した近年はかなりサイエンティフィックな理解が進んできているようだ。

シミュレーションによると、頂角が上を向いた(Δ形状の)デルタループの場合

  1. 底辺中心部や頂角に給電する→「水平偏波成分が多く、高打ち上げ角」→近距離向き
  2. 底角付近で給電する→「垂直偏波成分が多く、低打ち上げ角」→DX向き

となる、という。

Cited from Delta Loop for HF


特に後者で最適なのは、「頂角からλ/4の位置を給電点」としたとき、とされる。*1

Cited from The Loop Revisited
ひとまず、とりあえずこのようなアンテナを”VPDL”(Vertically Polarized Delta Loop)アンテナと呼ぶことにする。

先週末検討したのデルタループはというと

先週末NA・SA方向にさっぱり飛ばなかった”デルタループv1”を思い出すと、あれは等辺16m/底辺12m程度の二等辺三角形ループだったので、頂角45°と鋭角。加えて給電点は底辺のセンターにしていた。

上記に照らすと、v1は完全に水平偏波・高打ち上げ角=近距離QSO向きだったのだろう。

さて、ネットに散見される40m版VPDLの典型的なものは

等辺12.5m、底辺17.2m前後で、頂角90°弱。つまりはほぼ直角二等辺三角形である。給電点は上述の通り、頂角から1/4波長(=10-11m付近)の位置。



Cited from Ham Radio Site - <My Favorite 40m>
#うーん、都会ではちょっと張りにくいですな。

シミュレーションによる議論は既に再三行われてるようでして

MMANA-GALのサンプルファイルに1.8MHz用VPDL(delta-opt1.maa)が含まれている。


確かに、垂直偏波・低打ち上げ角でほぼ無指向性なアンテナである。


ということで、今週末“デルタループv2”検討のスタートはここから始めたいと思う。
追記:そんなわけで早速やってみました

*1:垂直成分が増えるのはλ/4バーチカルのアレー的な動作になるから、との解釈も見られる。