FT-891はポータブル用、ということになっている。
しかしガチな固定局用に使えるのかどうか検討すべく、シャックの八木アンテナにつないで聞いてみるとする。
うちのシャックはかなりの地獄耳なうえに、強い信号が殊更に強く受かる。S9+40dBが振り切れるのもいつものことだ。
そのためここでの受信は、受信機の過酷な性能テストを定常的にやっているようなものとなる。ダメなリグでは問題点が露呈する。混変調・相互変調に弱い受信機は立ち所にメタメタになる。
結論からして、FT-891は”普通に使えた”。
- 国内の猛烈な信号でごった返す昼間の7MHzは、FT-891で信号が濁ることなく受信できた。59+30dBが近場に居ても何のその。必要に応じてWIDTHで帯域を狭めたり広げたりして、音質を愉しんだりQRMから逃れたりが楽しい。普通に快適。
- 夜の7MHz SSBでVK/ZL方面のラグチューを聞くと、S0-S1程度のカスカスの信号も聞こえるのだが、十分復調できている。高級機と並べてそん色がない受かり方。ちょっと弱くて聞きにくいかなという時にはWIDTHで帯域を狭めると了解度が上がることが多い。
- 7MHz CWでのパイルアップに遭遇するが、寸詰まって塊になることなく、よく信号が分離できていた。
- IPO・ATTともにOFFの設定で、受信段の明らかな飽和は二日間のテスト中一度も体験しなかった。大したものだ。とはいえ、もししっかりしたアンテナをつなぐ際は、IPOをオンにし高周波増幅のゲインを下げておけば万全である。S1程度の弱い信号でもDSPなら復調しちゃうしね。
- バンドスコープはウォーターフォールではない二次元であり、加えてS/N・周波数分解能共にあまり良くないため、どこに局がいるか直感的にわからないことが多い。せいぜいバンドが混んでるかどうか程度しかわからない。ギミックとして訴求力のあまりないオマケ機能ですな。複数回スキャンした積算のスペクトルをプロットした方がピークが明確になり実用性アップするんじゃないかな。
結論:受信音がすこしハイ上がり気味なこと以外は、何の問題もない。IF DSP機ってすごいね。