米国メーカー設計で8086系DOSマシンを貫いたHP95LX〜HP200LXと、英国メーカー設計でARM系にEPOC OSなる優れた32bitグラフィカルOSを積んで欧州市場を席巻したPsionシリーズ。
日本ではHP200LXは「電脳パンツ」という俗称があり、高機能じゃないけど生活必需品として、geekに珍重された。
メモリもグラフィックスもサウンドも、圧倒的にPsionが優れていた。電池も単3*2とCR2032でおんなじ。けど、結局日本ではPsionより200LXの知名度が高かった。
などの理由はあると思う。
※栄光の歴史:Psion Devices - PsionWiki
僕もケレン味あふれるPsion Series5+UniFEPに魅せられて使っていた
時期はある。確かにギミックの素敵さなどはあったんだけど、どうにもソフト・ハードともに使いづらくて、更には筺体表面のラバー加工がすぐボロボロになったので、使う気が失せた。
質実剛健のLXには面白み・華やかさは乏しかったけれど、自力で環境構築するあたりにgeekのツボを刺激するものがあったと思う。おまけに致命的な欠点がなかった。
しゃれたブランドモノは、パンツになりえない。
Psion revoを今あれこれ使ってみているけれど
やっぱりパンツたりえないことがよくわかった。
最大の恐怖が、『本体内記憶媒体にフラッシュメモリを採用せず、コンパクトフラッシュなどのスロットがない上に、バックアップ電池がない』という無茶な割り切り方(暴挙)がもたらした、「内蔵電池が落ちたら、データが飛んでハイそれまでよ」である。おまけに「充電機能がおかしく充電池を殺しやすい」という致命的欠点とも闘わなければならない。*3
更に、テキストの読み書きはできるけれど、データの出し入れやバックアップのために母艦を持ち歩く必要がある*4。
#但し母艦とのリンクは至れり尽くせりで、赤外線でデータの出し入れができるのは快適。
てなことで、軽いメモ取りにはとてもいいんだけど、物書きマシンとしてスタンドアロンで自己完結していない上、データの保存の問題から、安心して使えない。
不安感を与えるものは毎日パンツとして使えない。
#が、「駄目な子ほどかわいい」もまた真なり。
*1:DOSは既にいいエディタ, FEPがあったのが大きい。PsionはUniFEPがクソ過ぎた。文節変換できないわ、インストールするとマシンが遅くて使う気が失せるわ。
*2:電卓臭いプチプチキーのLXは結構な速度で打てたが、せっかく広いピッチのキーボードでも、キーストロークが鬼のように深くて重いPsionの方が、一個一個キーを押すのに苦労した
*3:それでもまだ、電池が専用電池じゃなくて汎用性ある単4Ni-MHだったから、定期的にパーツ交換すれば生かしていけるというのは救いである。
*4:が、いまどき『出張にモバイルの1台も持ち歩かないビジネスマンはそうはいない』はずなので、ここでは、『母艦に加えて持ち歩く価値がある小型物書きマシンかどうか』が問題である。