ささやきの小径(吉野)を歩く。
オンルートに戻れたので、見覚えある道を黙して歩こう。
ここまでの吉野ウォークは山を登りっぱなしだったけど、象の小川に沿ったアップダウンは実によい。
蛇行する小川の川辺に沿った山道を歩く。
常に風景と足元に変化があり、小気味良い緊張感と爽やかさを楽しめるのが、この「象の小川」周辺なのだ。
第2チェックポイント「宮滝」着。
吉野川屈指の名所にして、推定吉野宮な遺跡のある地域だ。
ここらを歩いたことがある人はご存じとは思うが、滝壺のある滝ではない。川の合流点だ。川の浸食が作り出す奇岩の風景、よいものである。
柴橋という橋を歩いて渡った人にだけ、なお素晴らしい風景を愉しむボーナスが与えられる。
続いて、宮滝から徒歩2分の「吉野歴史資料館」。
ご参考:吉野歴史資料館 | 吉野町公式ホームページ
吉野杉をあしらったウッディでかっちょいいファサードにでむかえられる、印象的な資料館だ。
アドミッションフィー200円。僕は初めて入る。実はここ数年はコロナで閉まってたり開館時間が短かったりで、いつもタイミングを逃していたのだ。
展示スペースは決して広くはないし、たいそうな秘宝・遺物が展示されているわけでもないのだが、歴史と地域に対する職員の熱の入り方が素晴らしい展示。もちろん宮滝・吉野宮を大フィーチャー。
元正天皇の吉野行幸から1300年。ううむ、これは地元民にしかアツくなれないアニバーサリーである。
吉野行幸といえば、この先の芋峠を藤原宮から行き来しまくった持統天皇が有名。持統のオバハン、一説には30回以上来たという。これはもう避暑地気分かよ状態である。
元正天皇っていうと「日本書紀完成時の女帝」って程度で僕の乏しい知識はいきなり終了するのだが、草壁皇子の娘にして文武天皇の姉と聞くとなんだか近しい・・・いや近しくないな。
元正っちってば、どうやら美少女っぽいですよ?(そうかな)
司馬遼太郎氏と吉野という切り口もなかなか良かった。
学びを胸に、宮滝遺跡を歩く。
空虚である。よく知られているように、古代の宮ってのは造営されても、遷都で一切合切根こそぎ持って移動するから、柱の跡とかそれぐらいしかないのだ。
宮滝周辺を後にし、吉野川に沿って169号線を黙々と西進。歩道があまり設けられていないので後方車に注意だ。河原付近には、アウトドアを楽しむ家族連れのテントがいくつも建つ。
(つづく)