M型コネクター。アマチュア無線やってりゃ、必ず世話になるコネクターである。
通称Mコネ。
高周波用と称されながら高周波特性なんてあったもんじゃなくて、ホットとコールドが絶縁されてガッチリ接点としてつながるというだけのイイカゲンなコネクターながら、半世紀以上使われてきた。アマチュアだけでもない。アナログ時代、放送機器のモニターディスプレイにも使われていた。
一方で、ネットにはUHFコネクタやらSO-239コネクタやら、似たような形状で違う呼び名のコネクタが存在する。
まず、「M型コネクター」という言葉は日本でしか通用しない。
僕はしばし白耳義にいたけど、欧州でのその手のコネクタの呼び名は、「UHFコネクタ」だ。もっとも、こんな特性いい加減なコネクタに本当にUHF(300~3GHz)を通したら損失いっぱいであるが。
そこら辺の違いはネットを漁れば大体書いてあるが、以下に網羅的に記載されているので、これだけ読めば十分だ。
M型コネクターとUHF型コネクターについて(JA3KIO満田OM)
要は、SO-239という古の規格があって、ネジのピッチがミリなのが日本で通用するM型、インチなのがUHF型だ。UHFの方がネジの長さが短い。ともかくはUHFであれMであれ、インピーダンス整合が期待できないコネクタなので、堅牢性があって、ハンダ付けで樹脂が溶けなくて、接続時の接触抵抗が十分低いのであれば文句はない。
通過電力10W程度なら多少ネジがスカスカでも、そこそこ接触面積があればセーフだと思うけど、100W以上通す場合、ミリ⇔インチを無理矢理ねじ込んで接触抵抗が上がった状態はあまり良くない。
#欧州では明らかにUHFタイプが売られていた。
SO-239の角座ジャックにて、「真のM」と「そうでないもの」をリサーチしてみよう。
安価で売られている『MコネっぽいSO-239型コネクタ』を比較検討してみることにした。
3つ買ってきた。
- 左が秋月で売られている「UHFコネクタ」、あくまでもUHFを謳っている。税込130円。ホットが金メッキだ。UHFコネクタ(メス)4穴パネル取付用(角座): パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
- 真ん中のはポンバシ某所で「Mコネクター」として売ってるもの、税別200円。
- 右のはアキバ某所で、これも「Mコネクター」として売ってるの、同じく税別200円。
まず真ん中と左はほぼ同じピッチ。MはMだった。
MとUHF(秋月品)はみての通り、やはり長さも違う。UHFは短い。
そしてMコネとして売られているプラグを挿入してみると、収まりが悪い。
cf. デッドストックを見つけた、本多通信工業(HTK社)のMコネ角座。
加工精度が素晴らしい。ハッキリ「M-R」と書かれている。昨今、このような質のいいMコネはお安く手に入るまい。
こっからは、あまりほかで書かれていない材料の話。
以上までは大体どこかに書いてあるので、以降は材料の話をしよう。
- コネクタの接点部分は銀メッキかNiメッキかにまず分かれる。銀メッキの方が当然ハンダ付けはしやすいし、持ちはいいが少し高い。銀メッキ品をなるべく選んでおきたい。
- 樹脂に関しては、業務用の高級品には耐熱性あるPTFE(テフロンなど)がつかわれている。安物は昔からフェノール樹脂(ベークライト)と相場が決まっていたが、最近の安物Mコネは白色の樹脂が多いようだ。あれは何で出来ているのだろう。
- 秋月UHFコネクタの仕様書によると、樹脂はDelrinとある。Delrinってことはアセタール樹脂(ポリオキシメチレン; POM)だ。
- ハンダ付けは鉛フリーじゃなくとも、250~300℃位は必要だ。アセタール樹脂は、ポリプロピレンよりいくぶんマシな程度の耐熱性。樹脂のグレードによるが融点はとこ100℃そこそこだ。 ハンダゴテを当て続けて、100℃超えたらアセタール樹脂はテロッととろけちまうが、フェノール樹脂ならばもうすこし耐えてくれる。
Mコネクタに使われる樹脂の耐熱性:
アセタール樹脂(白, <100℃)<フェノール樹脂(ベークライト等、茶色, <150℃)<<PTFE(テフロン等、黒. >250℃)
*1:着色されてると見分けつかない人もいると思うが