駄目社員はむの日記

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無責任艦長タイラーと組織論・リーダー論の話。

#あるいは、スペースオペラってそうなりがちか?って話。

無責任艦長タイラーOVA(ひとりぼっちの戦争)は「ローマの休日」がサブテーマになっている。

アニメ版のタイラーは、ジャスティ・ウエキ・タイラーが”監督としてスタッフをまとめ上げた映画”を見ている、という物語だからなのだろうか。

  • TV版とて、2クールと長い分その要素が後半に凝縮してて他はうすめられてたけど、シリーズを通して「リーダーとは・組織とは」を論じようとしたと思われる。
    • 「硬直した組織に突然変異の様に若きリーダーが現れ、意識改革を通して崩壊したチームを常勝軍団に作り変え、イノベーションを起こしちゃう」のがTV版、更に「リーダーが人脈と能力を最大限に発揮し、組織全体の利益のために型にとらわれないビジネスを展開しちゃう」のがOVA版、かな。
  • OVA劇中、アザリンは自分をアン王女(オードリー・ヘップバーン)になぞらえて「そうなりたくない」と主張する。一方タイラーは、そこにウィリアム・ワイラー(監督)と映画の製作現場の話を被せた。
    • 真のリーダーたるタイラー*1は敵味方双方の立場から大局を観ることができる。これに対して、リーダー役は背負わされたが未だ器にないアザリンは、リーダーの片鱗は感じさせるものの、まだ自己をヒロインに見立てる程度の視野しか持てていない。
    • ドムやそよかぜクルー、フジらはその中間の立ち位置に居て、視野はアザリンよりは広いものの、属する組織にとらわれ味方側の論理でしか観ることができない。
    • そして物語のラストでアザリンやドム、そよかぜクルーらは、大局を見る能力をタイラーの言動から得ることになる。
  • 特にOVAの後篇では、明確な視野の違いをラストに向けて際立たせつつ、そよかぜクルーやラアルゴン側の会話から、「組織と個人」「リーダーと組織」の関係性・組織論を展開させていく。それも、説教臭いビジネス書よりずっと面白く。ツッコミどころは多数あるものの、トータルではとても面白い作品だった。タイラーはビジネスマンの鑑だぜ?*2

*1:と、本質を見抜くミフネ中将

*2:でも僕はタイラーの器が無いので、マコト・ヤマモトあたりのポジションを目指すべきかな。