戦後〜昭和30年代のハムは米軍や旧軍から放出されるジャンクを買い、パーツを取り外して送信機・受信機を作ったという。
その後日本が電子部品大国・電化製品大国となり、90年代ごろまでは秋葉原に出回る潤沢な余剰部品で自作派は自作を謳歌できたし、ラジオやテレビのジャンクからパーツをかき集めることも行われていた。
実は今も日本は、というか日本企業は
特にここ5年、電子デバイスの市場在庫は底をつき始め、自作を取り巻く環境は大幅に悪化してきている。
- 半導体の入手性はキツイ。日の丸半導体最後の砦だった東芝は近年、次々にディスクリート素子をディスコン。新規に開発されるデバイスは、米粒のようなパッケージでUHF〜マイクロ波〜ミリ波向けばかりで、特定機器向けだから、市場にほとんど出回らない。
- 日本で電機メーカーの試作が行われないからだろう、自作用ケースで使いでのいいものがどんどんディスコンになっていく。ツマミやボリューム、スイッチといった機構部品の類もいいものも、国内で最後に作ってくれる工場(こうば)のおじいちゃんが合間合間でちょこちょこ作ってくれていたのをやめると打ち止めというのが少なくないらしい。
- アマチュアの自作に使いやすいリード線のついたパーツはもはや、パワー用途を除くと、趣味用やごく限られた用途にしか生産されていない。
- 秋葉原や日本橋のパーツショップは、じっちゃんばっちゃんでやってる零細企業で後継ぎが無いから次々に閉店。
本当に限られた市場在庫を奪い合う、過酷な状況になりつつある。自分が使い慣れたデバイスを選んで組む、なんて余裕はもはやないのだ。
趣味は、材料が無いなら工夫するものだ。
となるとこれからの自作派ハムも、ジャンクのリグ・オーディオ機器からパーツを取り外して無線機を作ることになるんだろうなぁと思う。
ある意味一周まわってサバイバルな状況へと先祖返りだ。今手に入る素子を使ってみたり、中古・ジャンクを譲ってもらいながら、なんとか遊んでいこうではないか。