駄目社員はむの日記

USO800 certified.

東京ハイパワーのローパワー機 HT-140のはなし (3) 哀・戦士編

あんまりソワソワしないで あなたはいつでもキョロキョロ

(※周波数ドリフトの件)
前回の続き。直ったけど、直ってない。
周波数のアラインメントをとり、数日使ってみると、問題ありありだ。

  • 電源投入直後、本体の周波数表示が実際の周波数から優に1kHzぐらいはずれており、しばらく初期ドリフトが止まらない。
  • 初期ドリフトが少し落ち着いても、時間とともに周波数がじわじわズレていったりいかなかったり。大体落ち着いても、表示と実際の周波数が平気で±300Hzぐらいずれる。

というかPLLなのにぜんぜん安定じゃねえ。正直、「電源スイッチオンですぐ使える」無線機とはいいがたい。


ただでさえPLLが100Hzステップと現代的には粗すぎるのに、これはきつい。SSB/CWの運用においては、100Hzのずれで、音調が随分変わってしまうわけで。

英文マニュアルで、答え合わせ。


周波数安定度についての記載がある。

  • from 1 minute after power switch on till 60 minutes, within +/- 150Hz
  • then, within 100Hz per 30 minutes

謎英語で理解に苦しむけど、少なくとも「スイッチオン1~60分後で±150Hz」かな。7.1MHzとすると±150Hzは20ppmぐらい。仕様です、ってことか。
アナログVFOのような周波数安定度スペック記載である*1
ちなみに1980年代半ば以降、PLL時代の無線機でよくある安定度の定格は「±10 x 10-6以内」(10ppm)とかだ。
いやこんなもんかな・・・

PLLの回路構成を改めて見直す。

原因を調べていくと、先述①②③はいちど調整後はじゅうぶん安定なのだが(そりゃ水晶発振回路だし)、④の周波数がドリフトするせいで不安定なのだ。



「④局発 (OSC3) 」は、15.033MHz×3逓倍=45.1MHzの周波数安定度に依存する。現実的には、VXOのご機嫌によって余裕で±1kHzぐらいはずれる。

このVXO、RITも兼ねて送受信とも常時動作している状態にある。
水晶+VXOコイル(缶コイル)+バリキャップによるもので、45MHzと非常に高い周波数のVXO、お世辞にも安定ではなかろう。
しかしこの周波数がPLLのループに入っているのだから、PLLがロックしてる状態で周波数精度の悪化にダイレクトに効く。

さてどうしたものか。

少なくともうちの個体は、精度も安定度も上記±150Hzなんてレベルではない。定格よりだいぶ悪い。

  • VXOの性能アップ検討したことある人ならお分かりと思うが、安定度を求めるなら、フェライトを使った缶コイルをVXOコイルに使うのは悪手だ。
  • 加えて経験的に、バリキャップは案外経年劣化するものであり、劣化したバリキャップの場合、安定した逆電圧がかかっていても静電容量が突然かっとんだりする。


  1. そうなると、元の設計を尊重しつつVXO安定化を試みようとしたら、バリキャップを外す or 交換してみる、ないしはコイルを缶じゃなくする?
  2. 荒っぽいが、「OSC3に、外部から高安定な45.1MHzをぶち込んで乗っ取る」。いやもっと立ち返って「Si5351あたりを使って周波数関係をPLL VFOごと乗っ取る」ことだってできる。16.0~16.5MHzの信号をダイレクトに吐いてしまえばいいのだから。

ただまあ、このHT-140をアップグレードできたところで、「VXO並程度の周波数安定度のモノバンド10Wトランシーバーが、わずかに安定度上がるだけ」である。
(つづく)

*1:よくあるアナログVFOの安定度は「スイッチON 1分後より60分まで±1kHz以内 その後30分当り100Hz以内」(TS-830の例) みたいな感じなので、VFOよりマシか。