駄目社員はむの日記

USO800 certified.

東京ハイパワーのローパワー機 HT-140のはなし (2) 星を継ぐ者編

託されたガラクタから何を受け継げばいいだろう?

さあこのジャンク、どう料理しよう。

  • シングルコンバージョンのスーパーヘテロダイン、IFは9.000MHz。
  • PLL VFO内蔵である。そのおかげで周波数は安定であり、バンド中動き回れる。
    • 「かんたんモノバンド機」としては先輩であるミズホ通信のピコシリーズと比較すれば、ピコではVXOで狭い周波数にしか出られなかったことを考えると、素晴らしい。

調整する前に、動作簡易テスト。


  • 受信はというと、アンテナをつないだら信号はそれなりに聞こえる。しかし表示される周波数は大ずれしており、復調音も変。
  • 今度は送信。電鍵をつないで、終端型パワー計に向かって送信したら、あっさり10W以上出力された。ということは、送信系はほぼ生きている。



離調し、周波数関係がずっこけているようだが、かなり幸先がいい。ここまで生きているのなら、SSBの送受信だってきっと出来よう。
幸い海外に怪しげなサービスマニュアルが出回っているので、読み解きながらならある程度直せそうな気がする。

HT-140の周波数関係を、受信機の信号の流れで理解する。

受信機は「シングルコンバージョンのスーパーヘテロダイン」なので、シンプルな構成である。

  • ベースとして、PLLには古典的な「PLL周波数シンセサイザIC」であるMC145163を使用している。昔のVHF/UHF FMハンディトランシーバーによく使われた定番素子だ。*1
    • HT-140はこの石の出力(50~55MHz, 1kHzステップ)を1/10分周して5.0~5.5MHz、100HzステップのPLLを実現している。
  • 上記「PLL+分周」で生成した5MHz帯に局発(水晶発振)をMIXし、各バンドの周波数を得ている(シリーズ共通の構成)。バンド生成にはPLLを用いていないので、「プリミックスPLL VFO」と称するべきか。
    • HT-140の場合、局発周波数11.0MHzで、16MHz帯を得る。
  • 受信機としては、それをアンテナから入ってきた7MHz帯の信号とMIXし、IF周波数である9.000MHzを得ている。IF信号が得られれば、あとはSSBフィルターを通し、復調しておしまい。

サービスマニュアルを読みながら、周波数を合わせてみる。

サービスマニュアルにはフィルタの帯域設定やらPLLの信号レベルやらいろいろ調整箇所が書かれている。
しかし最低限、周波数のアラインメントができさえすれば、さらに調整するなどすることでどの程度まで使えそうか推測できよう。

シャーシ上部にPLLまわり、下部にIFまわり(キャリア発振など)が収まっている。


調整ポイントは主に4つだが、前者で①②④、

後者で③を調整する。

  • ①基準発振 - MC145163の基準発振周波数を調整。TP13に周波数カウンタを当て、TC17トリマを調整し4.096MHzに。*2
  • ②局発 (OSC2) - PLLにプリミックスする局発周波数を合わせる。TP14に周波数カウンタを当て、TC16トリマを調整し11.000MHzに。
  • ③キャリア発振 - 変復調のキャリア発振周波数を調整。TPに周波数カウンタを当て、SSB TX/RX 8.9985MHz(TC1), CW RX 8.9992MHz(TC2), CW TX 9.0000MHz(TC3)に。
  • ④局発 (OSC3) - VCOとmixするための45.1MHz (15.033MHz VXO x 3逓倍)を調整。送信しながらL36を調整し、無線機の周波数表示を他の無線機とそろえる。

まずはここまで。

*1:おそらくこの石を使ったおかげで、安価かつ小さな回路構成でHFトランシーバー用のVFOを実現したってことなのだろう。

*2:これは1/4096分周され1kHzステップを作るので超大事。