駄目社員はむの日記

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驚異!幻の宇陀古道を追え!!(4)

宇陀松山に戻ってきたんだが。

早朝この界隈を通り過ぎた時点では、店もまだ閉まっていて何も見るものがなかった。
せっかくだからこのあたりを散策してみることにした。これが大正解だった。


御参考:宇陀松山:見どころ1〜4|ますます訪ねたくなる奈良
町家マニアックス。しまった、行く前に読んでおくべきだった(いや頭に全部入れられない情報量だよ)。

宇陀松山城跡に登る。


町家のぷち郷土博物館が、登城口。


山城のてっぺんまで登れて、

この辺が本丸・この辺が天守閣・・・とそれぞれキャプションがついている。
僕自身は城跡にあまり興味がないけど、城のプランを脳内に描き、位置関係を想像しながら見て回れるのは良い。




それよりなにより、城跡はあたりの山々を一望出来る贅沢な場所だ。天気にも恵まれた当日、山並をしばし目に焼き付ける。
なお、遠足で眺めのいい山の頂上に達すると、無性におにぎりを食べたくなる条件反射もよみがえる(こどもか)が、衝動をぐっとガマン。

森野旧薬園。博物的な屋外空間を愉しむ。




先ほども通り過ぎた、葛のお店(森野吉野葛本舗)に入り、町屋の裏口を通じて裏山=旧薬園へと立ち入る。何しろここは私設の薬草園にして、国指定の史跡である。
御参考:森野旧薬園 | 森野吉野葛本舗




ここ素晴らしすぎる。極私的ドストレートスキーだった。





この山一帯、薬用の草木がいっぱいに栽培されている広大な空間。
#薬草園は、先程山城に登り降りした舗道にも隣接する敷地だったもよう。
園内、博物学的なツボを大いに刺激される。入園料300円にして、これほど楽しめる空間も少ないのではなかろうか(植物園好きな方向け)。
写真だらけになってしまい申し訳ないが、それだけ感動したものと理解いただきたい。


なおバックヤードには、本業たる吉野本葛の製造設備と思しき巨大なトレーが置いてある。
化学工業的な妄想*1も膨らむ。

なお「森野吉野葛本舗」の葛製品は店頭販売されており、お値段も素晴らしい。

商品名として吉野葛ではなく「吉野本葛」(スペースを入れない)を名乗れるのは、ごく限られたホンモノの業者である。地域ブランド
御参考:吉野本葛(吉野葛) | 本場の本物
#言うまでもなく、自称葛=インチョキでんぷん粉とはアナザーワールドな美味である。


吉野観光の際、地元産と思いこんで吉野葛を買っちゃう人もいるけど、吉野葛の主な産地は、吉野地方でもどうも(現・吉野町じゃなくて)宇陀市寄りらしいのだ。

あとは帰るだけ(だが遠い)。


370号を北上し、榛原駅へ向かう。7kmぐらい。宇陀川に沿ってまた歩く。

まとめ。えいえんなんてなかったんだ宇陀古道なんてなかったんだ。

ちょっとハード気味な散策コースながら、完全に街道歩き。

  • はじめに書いた通り、今回のモチベーションは「宇陀古道は実在するか」だった。しかし「宇陀古道」という単語に、道中ついぞ出会うことはなかった。どうやら、街道ガイドブック著者・編集者の創作だったのだろう。真実を知るとは、得てして残酷にして苦い経験なのである。ある意味、川口なんとか探検隊と同じ結末をむかえたともいえる。

  • 宇陀川に沿って、とことん国道166号・国道370号やその側道を歩いた。少々オーバーワーク(5万歩、40km超え)。
    • 古墳・陵・寺跡・城跡まで見どころは結構多く、いいコースだった。部分的に近畿自然歩道であることも知った。同日、僕と同ルートを歩いてる奇特な人はたぶんいなかった。
    • 大蔵寺に参拝できなかったのが少々心残りだが、そこまで足を延ばさず、「桜井駅→忍坂→宇陀松山→榛原駅」ルートに留めておく、ないしはその逆ルートも楽しいと思う。あるいは近畿自然歩道をより絡めてみるも一興。
  • 宇陀松山。町家の風景は素晴らしい。かなり気温が下がっていた当日も、観光客でにぎわっていた。
    • とはいえ、今回一番の感動ポイントは、上記の通り森野旧薬園、次いで宇陀松山城だった。
    • 前者は、僕の中にあるなけなしの博物系アカデミズムを刺激され、とっても眼福であった。春か夏に来たらもっと愉しかろう。いや、薬草園に数時間滞在することのみを目的として、またいずれ宇陀松山来たいぐらいだよ。



・・・晴天に恵まれたが、寒かったじょ。

*1:あの反応釜ならああいうプロセスがあるのかな的な