はじめに:奈良の古道歩き、最近シリーズ化?
関西古道・巡礼道歩きは、山の辺の道、高野山町石道、先日の室生古道と来て、今回は「葛城古道」を歩いてみようと思う。
葛城古道は「絶対エース級名刹」などを巡るルートでないものの、関西の古道関係のガイドブックやルートガイドのウェブサイトに必ず登場する。
①そこそこの距離と見所があって、②ルートが完全に車道化してなくて、③鉄道+徒歩でギリアクセスできそう、の条件を満たす古道・街道のひとつだよなと以前から目をつけていた。そこで半日歩いて魅力を探ってみたい。
0746北宇智駅(きたうち-)着。
うーん、たぶんこの道を歩こうという時以外、未来永劫接点がなさそうな駅だ。
始まりは、医王山船宿寺(せんしゅくじ)。
裏参道はちょっとした山道で、お寺は小山の上に位置していた。ローカルなお寺さんらしく、誰も参拝者はいない。桜の隠れ名所というのはこういうところを称するのではなかろうか。
国道24号線に沿って散歩道ををいったん南下。
御親切にどうも。
北宇智駅から船宿寺へ向かう際一度通り過ぎた「風の森」まで戻り、いよいよ古道を北上する。
この辺りが葛城の峰々の山麓にあたるらしい。無作法ながら古道を逆走することにした。
田園や住宅地を走る細い車道やあぜ道をしばらく歩いていると疑心暗鬼になるが、時々案内板を見かけて安堵する。
0945高鴨神社着(たかかも-)。
この辺りではとても重要なお社なのだろう。ご神木の杉の大木といい、室町に再建されたという重文指定の美しい本殿といい、ひと味違う。
そして境内のお池の周りは最強の桜スポットになっていた。
ここで一服。明治のビターチョコレートがクソ甘く感じられるほどに、身体は糖分に飢えていた模様。
ちょっくら高天原いってくる!
舗道を延々と歩く。ヨーゼフ気になるぞ、ハイジよ。
葛城古道、ちと退屈なルートだったかなと少し後悔し始める。
え・・・高天原とはっきり書かれている。
こんなところに高天原があるというのか?
続いて、高天寺橋本院。
遠くから観ても既に桜尽くし。なお「橋本院参道」の道標はあぜ道に立っていた。
そしてもちろん境内は桜スポットだった。
本堂は落ち付いた雰囲気。商売っ気はここもほぼ無い。
この寺院は桜コレクターなのかどうか、裏庭は多種の桜の木が蒐集。咲き誇っていた。桜を楽しむ最高の場所だった。エドヒガンいいよね。
みんな、なんで来ないの葛城古道!(さっきと言っていること違)
極楽寺へ。
葛城一言主神社着。(かつらぎひとことぬし-)
県道に立つ小さな道標をみのがしてはならない(自省)。
雄略天皇がローカルな神とエンカウントするストーリーは聞いたことがあるが、雄略天皇って実在するんかいな。ファンタジーと史実のギリギリに位置する天皇との認識。
華美ではないが渋くて素敵な神社だった。
樹齢1200年ともされるふしぎな銀杏の木(乳イチョウ)が本堂の前にあり、ふしぎさマシマシ。
最後に、九品寺へ。
それにしてもこの辺りの神社仏閣は当然葛城の山々を基本的に崇めているから、毎度本堂が山の中腹にあり、石段をかなり登ることになる。ここでも同様であり、いちいち体力を奪いに来る。
何があぶないんだ。具体的に教えてくれPTA。
舗道から棚田のあぜ道に入る。
たまにこういうのが立っていないとただの農道歩き。
1230九品寺着。
上品なお寺だった。
九品寺(クホンジ)って漢字は読めるし、これまた全国にあるけれど、オリジナルはどうやらここっぽい。行基が開基なわけで行基っちの銅像が本堂の前庭に建っている。弘法大師ほどではないまでも、行基がビッグネームなだけあり伝説に満ちたおかたで、伝・開基とする寺は多い印象。
そしてここも桜の名所だ。さすがに九品寺はアマチュアカメラマンだらけだった。
そしてそのバックヤードはこれでもかというほどのお地蔵さん祭り。「怪獣総攻撃」というフレーズを思いださずにはいられない。
まとめと感想。
- 今日は天気がよくて初夏の陽気。葛城古道に限らずどこを歩いても楽しかったことだろう。そして桜が満開を迎え、まさに桜尽くしだった。一年分観た。
- 葛城古道は、金剛~葛城山麓の扇状地で閑かで美しい寺社に寄り道しつつ、御所市の南端から中心までをほぼまっすぐ北に向かい歩くコースだった。
- コンクリ歩きが大半で山道やあぜ道が時々ある程度なので、歩きやすい。ハイキング~トレッキングレベルの靴底でよい。
- 道標は十分充実。コースアウトしない程度の表示があるが、時々表示・方向が悩ましいときもあった。
- コンビニ等がほとんどルート上にない*2ので、食料と水はきっちり持ってくるべきである。
寺社周辺以外ではほとんど誰ともすれ違わなかった。メジャーでないのがもったいない。来てみてわかった、見どころ満載の葛城古道!また来たい。