駄目社員はむの日記

USO800 certified.

FT-891の回路構成を読む。

FT-891の回路は非公開のようだし、”あやしげなPDF”も流れていない模様。
とはいえ、公表されているデータを観ていろいろ考えてみたい。
商品情報 - FT-891/八重洲無線株式会社

受信部はやっぱり気になる。

FT-891の受信は1st IF 69.450MHz → 2nd IF 450kHz → 3rd IF 24kHz(DSP)のトリプルコンバージョン構成。これはFT-991というよりFT-950に近い構成のようですな。
参考:YAESUにしか創れない通信機 そこにはいつも新しい驚きと感動があります!
一方、991とはIF周波数(991は2nd IFが9MHz帯)が違ったりして微妙に構成が異なる。

従来機種との比較あれこれ。

  • この周波数構成で3kHz帯域のルーフィングフィルタは、おそらくはFT-950時点で開発済だろうし、フィルタはFT-991とも共通と推測される。実際ソフト・ハードとも総じて950や991あたりのサブセットなのかもしれない。
  • FT-891に搭載されたDSPチップは、FTDX5000・DX3000・DX1200に搭載されたTMS320C6727Bと同等以上のスペックと推測されるTMS320C6746(FT-991/Aにも搭載)だから、メーカーの使いこなしノウハウも十分たまっているはず。
    • IF DSPまわりのプログラムは既にprovenなものがコーディング済であり、FT-950に入っている(追加ハードを要しない)ほとんどの機能は891に実装されてしまっていることがわかる。891にはNB, NOTCH, WIDTH, SHIFT, CONTOUR, DNRも最近の八重洲HF機に内蔵されてきた機能に準じており、891実機での操作性はお世辞にも良くはないが、各機能の効きは素晴らしい。
    • 他機種(FT-991など)は同じ石でよりグラフィカルな処理もいっぱいして(ウォーターフォールなバンドスコープをリアルタイムに動かしたり)いて問題なく動いている訳で、891でのDSPの負荷は相当軽いのではなかろうか。
  • 送信機系統図を見比べると、891の構成に登場するのは他機種にも増して表面実装の知らないデバイスだらけだ。現行品高周波パーツ乏しき折、苦心して作ってくれているんだろうなぁ。

参考:
FT-891 Operating Manual(送信機系統図は59ページ)
FT-950 Operating Manual(送信機系統図は153ページ)
FT-991A Operating Manual(送信機系統図は141ページ)
DSP セレクション・ガイド 2011 (Rev. A) - jajb020a.pdf


つまりは、八重洲無線の蓄積してきた高周波関連要素技術の下でできた低価格ポータブル・モービルHF機なんでしょうな。