駄目社員はむの日記

USO800 certified.

5MHz帯、面白そう!

先日の官報で「5MHz帯は解放されなかった」のが一部でニュースになっていた。
それはこれまでの総務省の見解からして当然で何ら驚きはないのだけれど、同省が「5MHz帯の国外の動きを認知し、考慮し始めた」という点では、バンド解放に向け大きな前進と言えると思う。
個人的にはこの周波数帯、面白そうな予感がして結構期待している。

バンドとモードの話。

  • 他国の状況からして、バンドは5250〜5450 kHzのどっかで、アマチュアは当然二次業務扱いとして、スポット周波数 or 狭い範囲が許可されるのだろう*1
  • モードはCWと狭帯域デジタルモードのみになるのが順当かな。SSBも許可されると面白いかもだけど。欧州ではUSBを使うのだとか。

出力とアンテナの話。

  • 二次業務として割り当てられるため、他国に倣う形でEIRP(Equivalent Isotropic Radiated Power)上限が決められたバンドになるのだろう。
  • 5MHzは波長60mだからそれなりの敷地さえあれば設置できそう。ダイポールが30m、バーチカルやスローパーが15m。まあ敷地が不足してても工夫次第で、逆Lでもロングワイヤーでもいい。loop skywireなんかもいいかも。
  • ただ国際的なトレンドらしい「EIRP 15W」を守らされると仮定するなら、isotropic antenna(0dBi = -2.14dB)相当の利得を持つアンテナに15Wしか給電できない。
  • 要は「10W+ダイポールクラス」だ。もし10W位出すのならアンテナで利得を稼いではいけない。となるとタワー等でアンテナを高さを稼ぐか、海沿いや高台で電波を出すしかない。電波の飛びに、シャックのロケや接地の差がものすごく出ることだろう。

伝搬の話。

  • 国内QSOについては、三半と7Mの間なので、F層反射伝搬で安定したコンディションが期待できることは想像に難くない。昼夜それぞれに、どの距離の伝搬がどの程度安定なのか興味がわく。ついでに言うと「10W+ダイポールクラス」は”ちょいQRP”であり、適度にコンディション変化に左右されながらも、モードを問わずゆったりQSOが楽しめるちょうどいい設備規模ともいえる。CWやデジタルモードなら楽勝なくらいに。
  • 一方、一般にDXに飛ばすためにパワーが要求されるローバンドにおいて、”EIRP 15Wどうし”でF層を何度も反射させ、大陸をまたぐDXとのQSOを達成するには根気と工夫を要しそうだ。ゲインがなくて打ち上げ角が低いアンテナ(バーチカルとか)を選択すべきかな。DXCCは難しくとも、WACぐらいを目指してみたいものだ。

無線機と免許の話。

  • 上記各項目以前の問題として、送信機が技適や保証認定などの簡略な制度のもとで免許されるかどうかによって、QRVに至るまでのハードルがかなり変わる。
  • 海外では60mを出せるリグが出ているけど、開放を機に日本メーカー製の技適機で標準搭載できる状況が整えば、あっという間に新しもの好きなOM方で賑わうバンドとなる可能性がある。販売済み技適機がファームアップで5M送信OKになるにしても技適から外れて保証認定で面倒だし、ゼネカバ送信改造しようものなら保証認定すら通るまい。
  • 一方、もし総通が「EIRP厳守」とばかりに、アンテナも含めた無線設備総体について実質移動しない局に対してのみ許可し、担当官にお越し頂く変更検査を一局ずつ課すことにでもなろうものなら、137/475kHz帯同様に免許要件と免許後の縛りが厳しくなり、結局ごく限られた人だけが実験的に出るバンドになることだろう*2

*1:3.5/3.8MHzのように低い周波数においてバンドが散らばってると、カバー可能なアンテナを作りにくそうではありますね。

*2:あ、もし保証認定が通せるのであれば、自作機で免許を下ろすのも愉しそうですね。移動する局も許可されると、アンテナの不利さをロケで克服できたりするんだけどな。