駄目社員はむの日記

USO800 certified.

☆IC-760PRO。完成を見た80年代実戦機。

型番はIC-760のマイナーチェンジっぽいが、実際は760をベースに大幅な改良が加えられた、80年代末発売の名実戦機。760よりも7MHzが広く感じられるほどに、快適な選択度を実感させる。現代高級HF機の直接の祖先かもしれない。IC-775DXIIが出るまで長い間実戦機の座を譲らなかったのもうなずける。

  • 受信音の静かさ、PLLとDDS(ごく初期のだけど)の応答性の違いも当時のDXerから賞賛された。一発周波数管理は760が走りだが、DDSと組み合わせることで周波数構成は一定の完成を見た。バンドスタッキングレジスター(バンドごとに周波数を覚えておいてくれる機能)が搭載され、バンド間の移動が快適になった。
  • 付加機能の改善も進んだ。760から内蔵のアンテナチューナーは完全新設計で、メモリが搭載され動作速度も改善。アッテネータ+プリアンプのツマミも、アッテネータの段数が増えて使いやすくなった。また、メモリが100チャンネルに増加し、メモリスキャンでDX局をサーチすると言う使い方が出来るようになった。
  • CW運用は更に充実。細部が詰められている。ピッチコントロールが加わったのが大きい。あと、キーヤーのスピードツマミの速度の上がり方が、760はスレッショルドがきつめだったが760PROで改善された。DDSによる応答速度向上のお陰で、フルブレークインの安定性が格段に上がり、安心して使えるようになった。
  • ただしコスト上苦しかったのか、温度補償水晶発振器がオプション(760は標準搭載)だったり、760ではPBTだったツマミがIF SHIFTにグレードダウンされていたり*1と、細部ではちょっぴり首をかしげるリグでもあった。

760と760PROは、安く売ってるなら一度は試す価値のあるリグかもしれない。ただしでかくて重いので、乗っける机の広さと堅牢さを要求するので覚悟のこと。760PROは小型機と違ってシャックに鎮座する重厚なタイプのリグなので、あまり傷だらけでボロボロになっている個体は見かけない。全般に状態は良いが、重量物のせいなのか、余りハムフェアなどにでてこないかも。


決定版実戦機が出てきたところで、ICOMの80年代リグ列伝、一旦終了。
やっぱり僕はアイコムとケンウッドが好き。

*1:当時、ICOMにとってPBTが特許上グレーだったのだろうか? 簡単な改造でPBT化できるらしい。