駄目社員はむの日記

USO800 certified.

某所で先日「ICOMのIC-731の中古を今買うのってどう?」という質問を受けた。

迂闊にもブログに上げると約束してしまったので、賛否あるでしょうけど、独断と偏見で書きます。
Web上ではOM諸氏のべた褒めな評価が割と多い気がするけれど、総合的にはどうでしょうね。貶すつもりはないけれど、少なくともハム歴20年程度の僕にとっては「完動品であれば安くてとても良い小型機で、個人的には好みだけど、名機とまではいえない」です。


IC-731は主に大学時代、コンテストなどで結構使った。
とてもソリッドに出来た「いい受信部を持つコンパクト機」だとは思う。同時代の小型機の中では抜群の受信性能だったのは明らか。モービルホイップからビッグアンテナまで何でも繋げ、「確実に聞こえる受信性能の高さ」は間違いなく価格以上のものがあった。感度抜群、ローバンドでも混変調で濁った感じもないし、AGCがサチって妙な動作したりもしない*1


ただ、思い入れは大いに結構なのだが、小型機以上のものを期待するのはどうかと思う。良くも悪くも音は硬くてノイジーだし、混信除去の充実を売りにしてた割には、PBT/NOTCHの効きは簡易型のためオモチャ。

運用面では?

無信号時のノイズは、高域で篭もるような「コー」という音。賛否あるが、まさに80年代ICOMの音である。
CW運用をする上では、受信音はCW向きで僕は気に入っている。ただしオプションとして、CWフィルターの実装は9MHz帯IFに1本のみで、455kHzはセラミックフィルターのみなので、フィルターの切れはフツー。SSB運用をするには送信音が高域寄りで、昨今の音の良い局が多いローバンドで波を出すとケチをつけてくる人が居そうだ*2(^^;

使い勝手は、あまり良くない。

メインダイアルのノブがプラスチックで、軽くてトルクがフニャフニャしておりチープ*3だ。
あと当時のICOM機に共通だけど、メインダイアルを回したときのPLLのロックの緩慢さも感じる。加えてプッシュスイッチの押し心地もチャチなので、残念ながら落ち着いた固定運用には向かない感じである。

現在であれば、「使い方次第で、トラブルに対処できる人になら、買い」。

発売から20年以上が経過しており、ICOMが修理受付を終了したせいもあって、最近は中古価格がかなり下落傾向にあるらしい。状態のいい中古を安価で入手してみると思わぬ受信のよさには感心出来るとは思う。
#エレキーユニットとCWフィルターがが挿さった中古なんてまず見かけないけど。
ただ、なにせ20年前の、経年変化で調整個所だらけのリグである。些細なトラブルが発生しただけでリグが即ジャンクと化す人にはオススメできないけれど、自力である程度のメンテが可能な方なら、持って置いて損はない、いいリグ。


運用形態としては、小型機じゃないと困るシチュエーション(移動先や、狭い机上)で使うなら最強。固定運用の場合、サブ機としてなら十二分、コンテストなどでCQ連呼する場合もバッチリ。ただしメイン機に据えるのは操作上・機能上ちとしんどい、というところか*4
なお、良いとは言っても、当時のアイコムの上級機であるIC-740, IC-750シリーズには受信性能・機能・音・操作性ともに歯が立たないので、中古価格が僅かに上で、サイズがもう一回りぐらい大きくても構わないというのであれば、そっちを買った方が得かもしれない*5 (^^;

*1:学生時代、冬場に大学の農場にW(北米)方向にビバレージアンテナを張り、受信機に使ったことがあったが、混変調でガサガサバリバリにならず普通に聞き分けられたことを思い出す。

*2:10年前時点で既に、国内コンテストにおいて同機から3.5MHzにCQを出したら、コールも言わない局に「ひっでー音だなぁおい!」とケチつけられた。ひっでーのはお前の傲慢な態度だろ、この老廃物野郎!!(当時の僕の心の声)←いや、3.5MHzの住民だからだよな

*3:IC-730, 731はどれも似たり寄ったり。上級機740/741, 750/750Aには、それぞれツマミの重量感がある。

*4:運用場所が固定でも移動でも、周波数を決めてCQを出しパイルをさばく側なら、一局一局混信除去してからピックアップするわけでもないので全く問題ない。ただ、スイッチやノブをいじりまくってあちこち呼びに回るリグとしては、使い勝手に多少難があると思う。

*5:少なくとも、今更実用的な意味で731をラインで揃えてそれをシャックの中心に据えようとは、決して(ry